笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
 道を間違えたあたしとまなちゃんは、バス停のベンチに座っているおじいさんに道を尋ねて、日本海を目指して再び歩き始めた。

 道の両側に広大な畑が広がっている。

 田舎の定義とは何だろう。
 人が少ないから田舎なのか。建物が少ないから田舎なのか。田畑が広がっているから田舎なのか。

 あたしが暮らしていた藤沢市だって、田んぼも畑もいっぱいある。
 そう考えると、あたしが暮らしていた藤沢市も田舎ということになる。



 右側にそびえ立つ赤城山を見ながら、国道三百五十五号線を西に向かって歩き続けていたとき、突然の豪雨に見舞われた。

 バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャ。

 雹のような大粒の雨が地面を叩きつけている。カッパを着ているとはいえ、あたしもまなちゃんも、あっという間にずぶ濡れになってしまった。

 雨宿りできそうなところはどこにもない。大粒の雨が容赦なく降り注いでくる。

 大急ぎで道路脇の茂みの中にテントを張って、カッパと靴を脱いで、テントの中に避難した。

 あたし一人だけだったら、ずぶ濡れのまま、歩き続けていると思う。

 テントを買ってくれたまなちゃんに感謝感激甘ココア。
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