笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「もう真っ暗だから、今夜はこのままテントで泊まろうか」

 まなちゃんが買ったテントは、三人用なので、けっこう広々としている。

「はい! テントで泊まりましょう!」
 嬉しそうな顔で返事をしてくれたまなちゃんは、池袋を出発してから初めての野宿に興奮しているに違いない。

 都会暮らしを続けているまなちゃんにしてみれば、ちょっとしたサバイバルなのだと思う。


 お昼ご飯を食べてから、何時間くらい経っただろうか。あたしのお腹もまなちゃんのお腹も、ぐーぐー、きゅるるるー。と鳴り続けている。

 食料は、焼き鳥の缶詰が二缶と魚肉ソーセージが三本と板チョコが一個のみ。

 これじゃあ、腹の足しにもならない。


「ちょっと狩りに行ってくるね」

 晩ご飯のおかずになりそうな獲物を探しに行くため、あたしはカッパを着てテントから出て、茂みの中に落ちていた棒切れを拾って、一人で暗い森の中に入った。

 まるで野人になったような気分。
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