笑顔と猫とどんぶらこ～フーテンさきの歌紀行～

　あたしとまなちゃんは、竹の間に案内された。
　畳の香りが漂う広々とした和室。白色の塗り壁に滝の掛け軸が掛けられていて、高級そうなテーブルが置かれている。バルコニーからの眺めは素晴らしい。宿泊料金が高いだけのことはある。

　しょーちーくばい♪　なんだか日本酒を飲みたい気分。

「浴衣に着替えて温泉に入ろうか」
「入りましょう！」
　あたしとまなちゃんは、さっそく浴衣に着替えて、大浴場の露天風呂に入った。この温泉の泉質は、単純アルカリ性で、美肌効果があるらしい。
「まなちゃん、あたしの顔を見て。美人になったでしょ？」
「あ、はい。美人になったと思います」
　急にあたしに聞かれたまなちゃんは、ちょっと戸惑っている様子だった。美肌効果があるからといって、顔が変わるわけでもスタイルが良くなるわけでもない。でも、肌がつるるつになったような気がする。