笑顔と猫とどんぶらこ～フーテンさきの歌紀行～
「痛いなんてもんじゃないですよ。もう蹴らないでください。お願いします」
「ほんの出来心だったんです。どうか許してください」
　急に弱気になったナンパ野朗どもは、涙目を浮かべながら、あたしに向かって土下座をした。
「うるせー。さっきの威勢はどうした！　早く立たないと！　使い物にならなくなるまで蹴り上げるぞ！」
「もう勘弁してください」
　口を揃えて言ったナンパ野朗どもは、あたしに向かって再び土下座をした。
　それでも、あたしの怒りは収まらない。
「女をなめんじゃねーぞ！　てめーもてめーも！　あたしの話をよく聞きな！」
「はい。ぜひお聞かせください」
　顔を上げたナンパ野郎どもは、口を揃えて言った。
「てめーらみたいな人間がいるから！　この世の中はいつまで経ってもよくならねーんだよ！　男に襲われた女性が！　どれだけ怖い思いをしてるのか！　てめーらにはわからねーだろ！　トラウマになって！　男性恐怖症になる人や！　一生立ち直れない人や！　自殺する人だっているんだぞ！　てめーらはな！　人の命を奪おうとしたんだぞ！　わかってんのか！」
「貴方様のお言葉、心に響きました。もう二度としません。約束します」
「僕も約束します。本当に申し訳ありませんでした」
　あたしに説教されたナンパ野朗どもは、地面に這いつくばるように土下座をした。
「本当に二度としないんだな！」
「はい。本当に二度としません。心に誓います」
　ナンパ野朗どもは口を揃えて言った。
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