笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「あはは! 冗談だよ! ちょっとからかってみたんだ。ごめんね」
「………………」
 無言のままの水樹くんは、涙目を浮かべている。やっぱり、あたしにしごいてほしかったのだろうか。おもいっきりしごいてあげたいところだけど、まなちゃんが見ている前で淫らな行為はできない。そもそも、そういう問題ではない。悪ふざけをしたあたしが明らかに悪い。
「本当にごめんね」
 あたしは水樹くんに頭を下げて謝った。平謝り。平謝り。平謝り。
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