笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「焚き火を起こしますので、薪を集めてもらえませんか」
「うん。薪を拾ってくるね」
「いっぱい集めてきます!」
 水樹くんとあたしとまなちゃんとの三人で薪を集めて、川のほとりで焚き火を起こし、釣り立てほやほやの魚に棒を刺して、食卓塩を振りかけて、こんがりと焼き上げた。

 今夜の晩ご飯は、アユが五匹。イワナが七匹。ヤマメが三匹。ニジマスが二匹。デザートは、ピンク色の桃ちゃん。

「いただきます」
 あたしはアユの塩焼きを食べてみた。皮はパリパリとしていて、身はとても柔らかい。
 こんなに美味しいアユの塩焼きを食べたのは、あたしは初めて。
「すごく美味しいね」
「はい! とっても美味しいです!」
 明るい声で言ったまなちゃんは、イワナの塩焼きを食べている。
「喜んでもらえて嬉しいです。さあ、どんどん食べてください」
 爽やかな笑顔でヤマメの塩焼きを食べている水樹くんが、まなちゃんにアユの塩焼きを手渡して、あたしにイワナを塩焼きを手渡してくれた。
 
 焼き魚はもういいから、水樹くんの超極太のウインナーを食べさせて。じゅぽじゅぽさせてよう。などと口が裂けても言ってはいけない。これ以上、エッチなことを言ったら、純情なまなちゃんがまた黙ってしまう。
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