桜の花が咲くころに
「桜っっ!いい加減に起きなさい!
入学式なのに遅刻するわよ!」
「…………。」
遠くでお母さんの声が聞こえる。
でも私の瞼はピッタリと張り付いたままだ。
だって眠いんだもん。
もう少し…もう少しだけ…
お母さんの声がどんどん遠のいて行き、再び眠りの淵に落ちようとしたところで
「いい加減にしなさ~~~いっっ!」
ベリッッと布団を剥がされてしまった。
強制的に眠りの淵から引きずり出され、眠い目をこすりながら起き上がり、壁にかかっている時計に目をやると…
「っっ!!ヤバイッッ時間っっ!遅刻する~~!」
ほとんど流し込むように朝食を終え、勢いよくマンションを飛び出した。