桜の花が咲くころに
マンションから学校までは1本道で、道の両脇には桜の木が植えてある。
暖かい九州の気候のおかげで、入学式にもってこいの満開の桜。
学校から近い桜ヶ丘高校だったから良かったものの、もし別の高校なら入学式早々大遅刻だった。
サワサワッと風が通り抜けると共に、満開の桜の花びらが一斉に風に舞った。
「うわぁ~綺麗だなぁ~!」
春空の青と、桜のピンクのコントラストが眩しいほど綺麗で、入学式が迫っている時間だという事も忘れて、青とピンクの境界線を仰ぎ見ていた。
その時…
「急がないと遅刻するよ。」
背後からの柔らかい声に振り返ると、桜ヶ丘高校の制服を着た男の子が立っていた。