桜の花が咲くころに
「………分かった。」
そう言うと、私の好きな表情で微笑んだ。
「ねえ…海人?」
「うん?」
「本当に海人と私って、昨日初めて会ったの?
本当は昔会ったこと…あるんじゃないの?それか…私が知らないだけで、海人は…私を知ってた…とか…。」
昨日から不思議に思っていた。
千草から海人の話を聞いて、ますます疑問は深まるばかり。
千草から聞いた海人も、実際に話してみて私が受けた海人の印象も、そう変わりない。
【一目惚れした】といって、すぐ告白してくるようなタイプには見えない。
「……。本当に会ったのは、昨日が初めてだよ。俺が一方的に知ってたこともない。」
「何で私だったの?もっと他に可愛い子だって、性格が良い子だって沢山居るだろうに。」
私が俯きながら言うと、そんな私の顔を覗き込んだ海人が言う。
「そんなの知らないよ。
周りに誰が居ようが、俺の心を掴んだのは桜だったんだから。」
そう言うと、また王子様スマイル。
海人って言う人がどんな人なのか、まだ全く分かってないけど、これだけは言える。