桜の花が咲くころに

なんて小さな顔なんだろう…。

小さな顔には、寸分の狂いもないほど綺麗にパーツが配置されている。

茶色くてフワッとした髪に触れてみたいな。凄く柔らかそうな髪。



そんな事を考えている間に、その男の子が振り返った私の目の前に立った。



あっ…ヤバイ…思わず見惚れてた…。

慌てて思考を切り替えると男の子に向かって言った。


「そっそうですよね。いそっ…急がなきゃ!」


うわぁ~最悪…。いくらイケメンが目の前に立っているからって、私…噛み過ぎでしょ…。

会釈をして学校の方向に歩きだそうとすると、


「ちょっと待って…。」


そう言って、自分の方を向かせた男の子が、私に向かって手を伸ばす。


何?

何??



近いっ!

超近いんですけどっっ!!


< 5 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop