不器用な彼に恋した私。





翔さん...。
夢の中では、微笑んでくれてるのに。
藍って呼んでくれるのに。



どうして?
ねぇ、翔さんの方こそ答えてよ!!










「生きてますか?死んでますか?」
「二宮医師!顔が腫れてます!
大変です!死んでるかもしれません!!」




ん?
私、鍵開けてた?
うるさいこの人達、入れた?


「いや、死んでるかもではない。
もう、死んでますね。」



勝手に私をあの世へ送・ら・な・い・で!
私、まだバージンロード歩いてない!!



「可哀想ね、バージンロードは...歩けなかったのね。。シクシク。」

「黙って聞いてたけど、もう我慢出来ないわ。」








いきなり起き上がった私に、2人は顔を見合わせて、




『てっきり死んでたと思ったわ。』
なんて勝手に私をあの世へ送ろうとした。







体がだるく、直ぐにまた寝転がった。


「まぁ、生きてて良かったけど。
...鍵開けっ放しだし、メールはねぇし。
お前!!もうどんだけ迷惑かけるつもりだ!!」

「ごめん...二宮...。」

萎れた私を、二宮はお前らしくない!って何故か驚いた。


「ま、私らはあんまり心配してなかったけどねぇー、どーせ、酔いつぶれて寝てるかと。」




なんか酷い。
でも、体は反論する元気もなく、ただ黙り込むだけ。









「でも、一番心配してた人は...。
あ、もうすぐで来るんじゃない?」


一番心配してた人...?
首傾げてたら、インターホンが鳴った。


誰...?
重い体を起こして、インターホンに近づいた。








「はい、どちら様でしょうか?」





ーーー ... 高木です。


低音ボイスの聞き覚えのある声に体は反応した。



「っか...帰っていただいて結構です。」


鼻がツンとした。
泣きそうになった。


そのまま、玄関の扉を開けないつもりでいたけど、やっぱり二人の仕業だ。


二人はこっそり、机にプリンを置いて玄関開けて翔さんを、半ば強制的に入れて帰って行った。









重い空気感が、もっとだるい身体に響く。





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