不器用な彼に恋した私。






「あの...帰っていただいて結構です。
お仕事とか、ほら、優子さんとか!
私なんかに構ってる暇あったら、お仕事とか優子さんに、時間を費やしてあげてくださいよ。」


グサリと何かでえぐられたように痛む胸。
痛む胸が本音じゃないって告げる。

自分で言ってなんで傷ついてる。


重い重いの空気感。
なのに、私のお腹ったら...



ぐぎゅるるるる...となんともお恥ずかしい音を鳴らすほど、不機嫌。



咄嗟にお腹を押さえて、下を向く。








「っ...ぶッ!ははっ、何も食ってない?」
「...食べてません。。」


「入社してきてから初めての会議でも、井上の腹の音で笑いを取ったよな。っはは!」


翔さん...。
それ、私の脳内の記憶の中のブラックリストにある記憶です...。。








そう、この私。
井上藍は、入社早々の会議のために徹夜で何も食べずに、資料をまとめていたせいか、会議中のピリピリモードの中、容赦無しにお腹の音が鳴りました。


きゅるるって問題じゃなくて、もう女を捨てた方がいいって思うくらい、大きな音。


ぐぎゅるるるる...。。
って死ぬほど恥ずかしかったんだけど、皆笑いに耐えられなくて爆笑してたっけ。
その後の話はトントン拍子で進んでいって。


『井上の腹の音のおかげだ!』
って、お祭りワッショイだった。



今になってはもう振り返りたくない過去。。
< 18 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop