不器用な彼に恋した私。





「恥ずかしいし、もう帰ってください。」
「病人は黙って頼れ。ほら、プリン食え。」


ファミマの袋から出てきた焦がしプリン2つ。
焦がしプリン...美味しそ...う。。


誘惑に負けた、私は焦がしプリンに手を伸ばして食べようとした。




「んえ...!?」
「開けるから待ってて。」


どっきゅーーん!!
はっ、不覚。
どっきゅーーん!!って不覚。


ちょっとお腹鳴ったからっていい雰囲気になるなんて、私の腹はおかしい!!



蓋を開けてスプーンをとってきてくれた翔さんは、優しいことに丁寧に私に渡してくれた。


ちょっと嬉しいようで。
複雑なのですよ。







あー、これこれ♡
焦がしプリンは焦がしたところのちょっと苦いところと甘いプリンが最高にマッチしてて美味いのだよ。





「んんっ、おいひい!!」


やっぱり焦がしプリン。
焦がしプリン最高だわ。
もう何もいらない...。。


...。

...っは。
あ、翔さんがいるんだった。



すっかり、焦がしプリンに呆気を取られていましたよ。
翔さんはクスリと口に手を添えて笑った。







「本当、井上は美味そーに食うよな。」
「本当に美味しんですもん。
もう一つあるんですから、それどうぞ?」


可愛くなっ!
可愛くねぇ、言い方だ!
ふん!もう、知らないよ。知らない!
それで、嫌いになってくれても構わん。


そのまま、プリンを黙って食べ続けてると、最後の一口にあっという間になってしまった。




最後の一口...。
味わって食べよう。

そう心に留めていたのに。
誰かが、私のスプーンを持ってる手を強引に掴んでそのまま食べてしまった。




誰かが。
というか、翔さんですけど。









はっ!?


「...うまっ。」

顔真っ赤にして美味しそうに一口を味わう翔さん。
最後の一口食べた怒りよりも、翔さんと間接キ...キスした恥ずかしさが勝った。







「...。」


黙らないでいただきたい。

私、もっと恥ずかしさが増しちゃうから!!
そんな空気感の中を割くように、翔さんの着信が鳴った。




「...優子だ。ごめん。」

やっぱり、優子さんが好きなんデスネ...。
さっきの浮いた気持ちを返していただきたい。。






翔「はっ!?カツラが無くなった!?」
藍「ぐふっ...カ...カツラ!?」


優子さんの電話でまさかのカツラに頭が真っ白になった。






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