不器用な彼に恋した私。
不器用な彼に恋した私。




***


「二宮あああああ。。」
「…平日から強めの酒。明日プレゼンぞ?」

「うああああんっ!!」
「あー、コイツ頭逝かれたな。」


煙たく、アルコールの臭いが漂う居酒屋の一角。
仕事パートナーの将生を呼び出して、疲れた足を癒すように強めのアルコールを飲む。

記念日なのに。
記念日なのに。

こんなにも疲れるデートだなんて。。
こんな奴の彼女にならなければ良かった。


そう、そうだ。
こんな奴と出会ったのは今から3年前。
ガチガチに緊張して受かった会社。
長い就職活動を終えた私の教育係として、1年ついてくれたのがあの奴翔さん。
翔さんの整った顔立ちに冷めた性格だから、同期の女子やたくさんの先輩、後輩も色めいている訳で。

恋人の、私の存在さえも知らないだろう。
しかし、告白したのはあいつだ。



『お前気に入った。
俺の彼女になれ。』

無表情で私の頭を撫でて言った。
彼氏作りに必死だった当時の私。

付き合う内に好きになっていくのかなって思って即答でOKを出した。



でも恋人らしい事は一切ZEROで。
名前も普通に井上。











…、なんだよ。
付き合っても意味無いじゃん。











ヤケクソで、かじった串カツをもう一度ソースに漬けようとした私。


「お客様…。」
「井上、ここ2度漬け禁止な。」


ううう。
漬けようとした串カツを取り出して、控えめがちにもう一度かじった。


う、涙の味だわ。
あまりにも不憫すぎる姿に二宮。


「あーもう。奢ってやるから思いっきり食って豚になれ。」


憎たらしい言葉しか言えないの?
二宮は……。



今度こそ私は立ち直れない。。
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