不器用な彼に恋した私。
「...。ホント助かる。」

ボブヘアーのカツラをそっと手渡した。
翔さんは、本当に安心した顔で、さっきのピリピリした表情から穏やかな表情になって優子さんにメールをし始めた。


やったーー!
良かったーーー!

演劇最高!
裏方最高!!
カツラ最高!!!

初めて役に立てた感じ!!
本当に感謝です、カツラ様様様。。



そう心で叫んでいたら。
あの焦がしプリンの空気感が戻ってきた。
スマホを革鞄に入れ直した翔さんは、黙り込む。











だから、溜まりこまないで下さいよ...。。



翔さんの表情を横からちらっと覗き見したら、綺麗な手の甲を唇に抑えて真っ赤に顔を染めてた。




「翔さん、熱あるんじゃ...。」
「...ねぇよ。」






顔が真っ赤です。
熱があるに決まってるじゃないですか。


そう、体温計を渡したら、体温計を再び机に戻す翔さん。




もうこれ以上黙られると...どんな話をしたら...。
あっ、そうだ。



「翔さん!焦がしプリン、どうでした?
最後の一口は美味しいですよね~!」


はわっ!
不味い。これじゃ、自ら間接...んんっに触れてるようなもんじゃん!!








「美味かった...美味かったけどさ。」
もう余裕すらない私に何故か余裕すら見えない状態の翔さん。
空になった焦がしプリンの容器を見つめてた。
...もう内容がなかった。





「意識...意識しろ。」

はいっ!?
翔さん...何を...おっしゃって...。



「あぁっ!!もう、いい!!
聞かなかったことにしてくれ。。」


...翔さんが、間接キスに意識...。。
きっといま顔は、ゆでダコよりも赤いだろう。







翔さんの真っ赤な顔は、なかなか引かず。
翔さんの隣に座ってる僅かなスキマでさえも、暑い空気感だ。
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