不器用な彼に恋した私。
デスクに座り、カコから貰ったウィダーinゼリーを夢中でチューチュー吸ってた。
ゼリーの冷やりとした感覚、たまらんっ!
脳内、さっきはボーッとしてたけど、これで仕事も出来る程度のすっきり感を得られた。


「そーいえばさ。二宮来ないよね。
ホワイトボードには確かに“出勤”なんだけど・・・。
てか、出勤しないと北海道、どうすんだ!ッて話だけど。」

“二宮”
その名前を聞くと、胸がジクリと痛む。


“2回言われると傷付く。”
冷めた表情、口調全てが冷たくて。
なんか、今まで通りじゃいかなくなっているようで。

・・・でも、なぜ私がまだ初経験していない事をカミングアウトした瞬間。
“大人にしてやるよ”・・・なーんてあいつは言ったのだろう。

そして、何回も何回も交わしたキス。舌を絡めるようなそんなキスとか、
赤い跡とか。
なぜ、そのような行動に出たのか、真意が分からなくて。


思わず、

「うーん。」
とため息吐いてしもうたやない。←







「てか、今日藍、髪の毛コテで軽く巻いてきたでしょー。」
「んん?なんで?」


このくるくる。
実はあの赤い跡を誤魔化すためだったんです。
だから、別に特に意味合いなどない。

「社内中、その話題が出てたから。
無造作なヘアスタイルの井上さん、可愛いとか。
いつもの1つ結びよりも可愛いとか。
大好評でよかったじゃなのよ。」


会社の裏でそんな話が会ったとは。
ありがたき幸せです。


そんな話をしているといつものように社長が回ってきて朝礼、的なものをする。
ありがたい?お話を起立しながら15分。
おいおい、中学生かよ、私たちは。

悶々としているとあっという間に朝礼は終わる。
私は何悶々としていたのか。


朝礼後。
二宮は出勤してきた。
二宮は至って普通に私に接しやがった。

え、こんなに悩んでるの私だけかよ。
長時間悩んでた私がバカだった。


私の髪の毛を“くるくるにしやがって。”
なんて触りながら言う二宮は、あの昨日の冷たい表情と間逆の笑顔。


・・・もう二宮の心理が分からない。


そう思っているところに翔さん出勤。
昨日からお疲れ様です、なんて思ってたら、翔さんと目があった。
翔さんは二宮と私を交互に見るとプイッと目を逸らす。

どうしよう、私、嫌われるようなことしたっけ。
もう一度髪の毛に触れる二宮を見たら、今度は違って


触れながら鋭く翔さんを睨んでいた。
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