不器用な彼に恋した私。




指さしたメニュー。
それは私の好きなオムライス。


「はいよー!」
「大丈夫。味の保証する。
俺も好きで食ってるから、俺的オススメメニュー。」


無表情ながらも、耳は真っ赤だった。
そんなに……シジミ汁熱々だった...の?

でも私の方が今、多分赤い。
顔が熱いよ。。



常連でもよく分かんなかったから、嬉しい。
助けてくれて、すごく嬉しくなった。



「…お疲れ。」
「あの、有難うございます!」




大きな背中に震えた声でお礼を言う。
振り返らなかったけど、足はとめてくれた。
ちゃんと聞いてくれたんだ。


ドキドキした胸を押さえて、目を瞑った。













「おい、顔腫れたフグ。
さっさと席につけ。」




はっ。
トキめくなんて、不覚。
私はコートを脱いで、二人が座る席へと向かう。
案の定、ニヤニヤしながら問い詰められる始末。



「はい、ご注文の料理でーす!」


テーブルに並ぶ、ロコモコ丼にアボガドサンドとマンゴーシェイク。


そして翔さん、イチオシの大好きなオムライス。
ケチャップには、『相思相愛』の字。



「ぶはッッ!相思相愛!写メに、収めてお仕事男子に送れば?」


「いや、番号とかメアド知らない。」


「ほんとに相思相愛か?」


首かしげる二人を置いて私は目の前のオムライスのお皿の下に挟んである紙を開いた。



ん?鈴木ちゃん?


『藍ちゃんへ!
ブルーカットのメガネくん、彼氏でしょ?
お似合いだね~、藍ちゃんが可愛いし、彼氏もカッコイイなんて子供が楽しみ♪

で、彼。
ずーっと藍ちゃんが店内に入った瞬間、ソワソワしてた。
多分、…ニノの影響かな?』

二宮のせい?
私は首を傾げた。
心配する必要ないでしょ。。


大事な仕事仲間だし。


『追伸
彼が藍ちゃんのオムライスの代金払ったから、ちゃんとお礼はしなきゃね!』




お礼。。
私はまた紙を折りたたむとバックのポケットに入れた。


でも、きっと“忙しい”と言われちゃうのだろう。



はぁ、どうすればいい……?












「あーー!何してんのよー!」
「ん?相思相愛を平たく塗ってやってるだけ。」

気づいた時にはオムライスの字の面影さえ無くなるほどに塗りたくられていた。
おいおいおい。。



なんか……ドキドキしてたのにな。。

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