食わずぎらいのそのあとに。

***

実家のリビングを駆け回る子どもたちに聞いてもらえるように、少し大きな声をかける。

「みちる、ママ行ってくるね。楽しく遊んでてね」

「はーい。みちるね、おそとたんけんしてるから」

「たんけんって?」

「香ちゃん、エンジン音してるじゃん、ほら。早く行きなよ。機嫌悪くなるよ」

「うん、わかった。よろしくね、健太も」

「いいから早く行けって。オレにもおみやげね」

「ママ、たっちしよ」

「うん、たっち。ばいばい!」

かがみこんでみちると手を合わせてから、また背が伸びた健太にお任せして慌てて靴を履く。

妹達をいつも世話している健太は優しくて、みちるの憧れのお兄ちゃんだ。



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