食わずぎらいのそのあとに。
日曜の朝。
身体が疲れて残業できない分、人が少ない週末に作業しちゃいたいと思って、今日は家で少しは仕事するつもり。
タケルも読みたい本とか資料があるみたいで、今日は二人でまったり過ごそうかって話になる。
働き過ぎが基本のこの業界で、残業なし持ち帰りなしで産後働けるのかどうかはちょっと疑問だ。
朝食後にソファに座ったタケルに「ちょっと話」と手招きされて隣に座る。
「あのさ」
タケルが、隣に座ったまま真面目な顔でこっちに向き直って言う。
「俺、昨日の話、考えたんだけど」
首を少し傾げて私の表情をうかがうように見る。昨日の話って、えーと、どれ?
「流産とかそれ以外でも、上手くいかない可能性はあるとして。もしそうなっても、俺は香と結婚やめるつもりはない。妊娠したから結婚するって言う流れだけど。それはきっかけってだけで。少なくとも俺は、香とずっと一緒にいたいと思ってる」
何か言わなくちゃと口を開いたけど、手で制されて、タケルが続ける。
「だから、俺と結婚してください」
きれいな顔が微笑みながら、でも真面目に言った。
私は、またバカみたいにその顔を見つめてた。
「返事は?」
「はい。よろしくお願いします」
誰か別の人が答えたみたい。
微笑みがもっといたずらそうな笑顔に変わって、タケルは私の手を取るとどこから出したのかスッと指輪をはめた。
きれいな一粒ダイヤの指輪。思わず左手を目の前にかざして見惚れる。
身体が疲れて残業できない分、人が少ない週末に作業しちゃいたいと思って、今日は家で少しは仕事するつもり。
タケルも読みたい本とか資料があるみたいで、今日は二人でまったり過ごそうかって話になる。
働き過ぎが基本のこの業界で、残業なし持ち帰りなしで産後働けるのかどうかはちょっと疑問だ。
朝食後にソファに座ったタケルに「ちょっと話」と手招きされて隣に座る。
「あのさ」
タケルが、隣に座ったまま真面目な顔でこっちに向き直って言う。
「俺、昨日の話、考えたんだけど」
首を少し傾げて私の表情をうかがうように見る。昨日の話って、えーと、どれ?
「流産とかそれ以外でも、上手くいかない可能性はあるとして。もしそうなっても、俺は香と結婚やめるつもりはない。妊娠したから結婚するって言う流れだけど。それはきっかけってだけで。少なくとも俺は、香とずっと一緒にいたいと思ってる」
何か言わなくちゃと口を開いたけど、手で制されて、タケルが続ける。
「だから、俺と結婚してください」
きれいな顔が微笑みながら、でも真面目に言った。
私は、またバカみたいにその顔を見つめてた。
「返事は?」
「はい。よろしくお願いします」
誰か別の人が答えたみたい。
微笑みがもっといたずらそうな笑顔に変わって、タケルは私の手を取るとどこから出したのかスッと指輪をはめた。
きれいな一粒ダイヤの指輪。思わず左手を目の前にかざして見惚れる。