ビルに願いを。
6.それでも好きだと言えますように
予想通りではあるけれど、週末の間に丈から連絡はなく、重い足取りでオフィスに向かった。
昔のことならともかく、今も他の誰かと寝てるのは許せない。そんなの当たり前だけど。
でも、結局そういう女だと思ってるってことだよね。ビッチだったことなんて気にしないふりをしてくれたけれど、やっぱり前とは違うのかも。
言い訳なんてしたって仕方ないのかな。圭ちゃんが言う通り、このまま終わりにするべき?
1人の部屋で結局考え続けてしまい答えの出なかった問いが、まだ頭の中で暴れている。
なるようになれと開き直ってたどり着いたブースには、しかし丈がいなかった。イラに何か知ってるか聞くと、驚かれた。
「カリフォルニアに緊急帰国したんだって。どうなってるのかアンに聞こうと思ってたのに」
緊急? ケイティに何かあったの?
「セイヤも一緒らしいんだよね。何かあったのかな、本社の方で」
「空港までヘリで行ったって本当か?」
「屋上のヘリポート? そう言えば金曜に音がしてたかも」
ブース内で賑やかに始まった噂話をぼんやりと聞いた。一時帰国を早めたってことだよね。確かに会社のことかもしれないけれど。