拝啓、近づきたくないキミへ
幼馴染み sideツキ菜
あの女の子は一体、誰?
ルミナ…
幼い頃の私に似ている女の子。
『…っ……』
不意に頭痛が起きてきて、次第に視界が霞んでくる。
揺れていた向日葵も見えなくなって桜のような雪も溶けて消えていく。
そんな私の意識を夢から現実に戻したのは幼馴染みの声だった。
「いつまで寝てるのツキ菜、朝だよ」
「…っ…」
目を覚ますとベッドに腰掛けながらベッドで寝ている私をジーッと見ている幼馴染みのアイがいた。
高校三年生の男子。
でも女の子のような綺麗な顔立ちをしているアイを私は何度も羨ましいと思っていたりもする……というか、そういうことを言いたいのではなくて
「おはよう。アイ、顔が近いです…あと勝手に部屋に入らないでと言ったはずですよ」
「僕と君は幼馴染みなんだから問題ないでしょ?」
幼馴染みといっても私とアイは性別は違うし年頃なんだから昔のように好き勝手に部屋に入らないでほしい。
「おばさんから許可もらってるし、なかなか起きないツキ菜が悪い」
「だからって、寝顔とか見られるの恥ずかしいです」
「見慣れてるから問題…」
「問題大アリです。着替えますから部屋から出てください」
ベッドから降りたアイは『早くしてよね』と言い残して部屋を出た。
お互い家が近くて幼い頃から一緒に遊ぶことが多くて小中高と見事に同じ。
事情によって私はアイよりも四つも年上だけど同じ高校に通う高校生。
二十二歳にも関わらずブレザー制服を着ているとたまにコスプレなのではないかとつい思ってしまい溜め息が出る。
年下でかつ幼馴染みのアイに対して敬語で話しているのは昔からの癖で他の人に対しても同じ。
アイレス・D・クリスザード
東洋系の顔立ちなのに名前は見事に西洋系。これには理由があるらしいんだけど詳しくは知らない。
ただ私は【アイ】と愛称で呼んでいるしアイのお父さんは私の伯父さんだ。
つまり私とアイはイトコなんだけど幼馴染みのように育ったから、そのことに関しては気にしていない。