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傍に居て
「…え?」
頭の中が混乱し始める
目の前の男
笹山篤(ササヤマ アツシ)が、いつも通りのクールな表情で…抑揚のない落ち着いた口調で言った
「地方の大学受ける」と…
篤の目の前にいる私、山田怜衣(ヤマダ レイ)は、私の記憶が正しければ篤の彼女である
普通、彼女と同じ大学受けるとか、同じ都内に就職するとか…そうするのが普通じゃないの?篤は私と離れても平気なの?
あ…別れたいの?
「…………」
「…怜衣?」
「っ…が…頑張ってね?受験」
「……おう。怜衣もな」
泣かない…出てくるな、涙
篤は普段通り飄々としていて、何を考えているのか解らない
唯一繋がった手が…温もりが…心地良い
ねぇ?篤
卒業までは、私…篤の彼女で居て良いんだよね?
チラッと篤を見上げると、篤と目があった。急いで反らす視線
見てると泣きそう