ShortShortStorys
卒業式の今日
新たな旅立ちの日
別れの日
沢山の人波の中でも篤の背中を見付けることが出来る。私の特技かもしれない
それも、今日が最後
来週には、篤は大学のある北海道に引っ越してしまう
都内から気軽に頻繁に行ける距離じゃない
「…篤のバカ」ボソッ
呟く心の声…涙と一緒に落ちていく
「………淋しいよ」
「遠距離…無理だし」
「あたしの事…嫌いなら……ちゃんと振ってから北海道行ってよ」
ポロポロ止めどなく流れ落ちる涙
「振らねぇから」
「………………え?」
突如、頭上から聞こえる声に顔をあげると、珍しく不満を顔に出してる篤が私を見下ろしてた
「ふっ…振らないって…振りなさいよっ…グズッ…あたし…遠距離…自信ないっ」
「……一年間だけでも無理か?」
「…………………1年?」