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答えは「君」
「雅人、お帰り…あ、俺の彼女の和田七瀬ちゃん。可愛いだろ⁉」
そう兄貴に紹介された「彼女」は、クラスメートであり、俺の片想いの相手だった
彼女も彼氏が俺の兄貴だと知らなかったらしく、かなり気まずい顔で会釈をし、兄貴の後を追って部屋に入っていった
その部屋で…個室で…密室で何してるんだよ
やっぱり………キス………するよな?
胸が苦しくなる
何だ、兄貴の女かよって、すぐ諦められたら楽なのにな
兄貴の部屋の隣に自分の部屋があるが、今は行きたくなかった。二人の会話なんて聞きたくねぇし
次第にイライラが募っていく。苛ついたって仕方ないのに
……………………………………
……………
「雅人、何かあった?具合悪い?」
「珍しく不機嫌だな」
いつもつるんでる菜穂と崇が茶化すように話しかけてきた。この場に七瀬は居ない
「七瀬は?」
「部活の先輩の所じゃない?雅人、先輩に七瀬取られちゃうんじゃね?」