勿忘草~僕は君を忘れてしまった。それでも君は僕を愛してくれた~。
高校を卒業し、親元を離れ、ボロいアパートで独り暮らしつつ大学生活をはじめた。
家事の手伝いなんてこれっぽっちもしてこなかった俺は本当に母親の有り難さをこの時、しみじみと身をもって知ることとなった。
温かいご飯が用意されていること、汚れた衣服が洗濯され干され畳んであること、散らかった部屋が片付けられ掃除されていること、一日の疲れを取る湯船が掃除され湯が張られていること、そして何よりも『おかえり』と言ってくれる人が居ないことが俺は辛かった。
当たり前だったそれらが当たり前ではなかったことを知り、俺は涙が溢れ、流れた。
有り難いことを俺は見落とし、それを当たり前だと勘違いしていた。
嗚呼・・・俺は馬鹿だ。
次の母の日にはちゃんとしたプレゼントを用意して恥ずかしくても今まで見落としていた感謝すべきことのお礼をきちんと言葉にして母さんに伝えよう・・・。
ちゃんと出来るかは不安だけれど・・・。