ただ、守りたい命だったから
『うん…。薺のご両親に受け入れてもらえるか不安で。』

薺は笑顔で「それなら大丈夫!」って、自信ありげに言う。

どこからきてるの、その自信?

余計不安になるわ。

「なんなら、今電話しようか?」

『はっ?ちょっと…。』

って、私が驚いてる間にケータイかけてるし。

おいおい…。

心の準備がまだですが。

「あっ、母さん?オレ。潤見つけた!」

“やっと見つけたの?!どこにいたの?”

スピーカーで話してるし。

焦ってる薺母の声。

てか、探してたのお母さんも知ってるの?!

「ハワイ。社員旅行で見つけた。」

“やったわね!これで腐った生活からも、ぬけだせるわね。”

「ああ。で、オレ子供いた。」

あっさり言ったー!

“はぁ?どういうことよ?!”

1オクターブ跳ね上がるお母さんの声。

「オレが誤解させて不安にさせたから、責任だけでオレにいてほしくなくて、言えなくて会社やめて一人で産ませてしまったんだ。情けねぇ…。」

…薺…。

“…潤さん、そこにいる?代わって。”

静かにお母さんがそう言った。
< 26 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop