ただ、守りたい命だったから
「そうか。思いつかなかった…。」

見るからに落ち込む薺。

それを見ながら溜め息とともに。

「潤ちゃんいいの?こんな男で?他にも潤ちゃんなら、頼りがいのある良い人見つかるわよ?」

「なっ、何言ってんだよっ!」

落ち込んでたのに、こんどは焦ってる。

浮き沈みが激しいな。

「潤っ、オレ頼られるように頑張るから!」

みんな爆笑してるのに、それさえ目に入ってないみたい。

楓さんはからかってるだけなのに。

『薺?指輪とかいつでもいいの。薺はもうたくさん私にプレゼントくれてるから。』

「?」

薺は訳がわからず、不思議そうに見てる。

『私、今までは櫂琉だけだったのよ。で、そのあとに慈季から始まり、それから一気に家族が増えた。それが嬉しくて。櫂琉と慈季にも家族をたくさんありがとう。最高のプレゼントよ。』

「潤……。」

泣きそうになりながら、抱きついてこようとする薺を。

「潤ちゃんっ!!」

って、楓さんと薺母がぶっ飛ばし。

泣きながらぎゅうぎゅう抱きしめてきた。

二人泣いてるし、薺にも悪いけど…我慢できない!

『ぶっ!あはははははっ!』

同じく、笑い転げる櫂琉ときぃちゃん。

「潤ちゃん!薺じゃなくて、私の嫁になりなさい!」

「いやいや、薺より綺壱くんのほうがよくない?!」
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