ただ、守りたい命だったから
『あんた、何したかわかってるのっ?!こんな小さな子を!許さない!』

私はベビーシッターの女を睨みながら、怒鳴り散らす。

「わ、私…こんなつもりじゃ…!」

そう言って泣き崩れる女。

櫂琉も電話が終わり、冷めた目でベビーシッターを見つめる。

「潤?そんなひどい言い方しなくても。」

薺はしゃがみこみ、ベビーシッターの肩に手を置く。

「薺くん…?」

櫂琉の嫌悪する声。

何を言ってるの…?

私と櫂琉は同時にそう思ったと思う。

慈季は血を流して倒れているのよ?!

慈季が投げられ虐待されているところを、直接見ていないにしろ、まずは真っ先に慈季を心配するはずでしょう!

私は益々興奮し、さめざめと泣いている女の横の薺を睨む。

視線を薺から慈季に戻す。

今は薺達に構ってられない。

相変わらずピクリともしないし、泣きもしない。

『慈季っ、慈季っ!痛いよねっ?ごめんね。痛いなら泣いてっ!泣いて声を聞かせて!』

「大丈夫だ。慈季は強い子だからっ。」

必死の私に櫂琉も叫ぶ。

お願いします。

どうか、慈季を助けて!

私の命を助けて!
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