世界にひとつのどこにもない物語
「な、何をですか…?」

まやは訳がわからなかった。

何を思い出せないと言うのだろうか?

と言うよりも、狼谷は一体何が言いたいのだろうか?

狼谷はやれやれと言うように息を吐くと、
「もうしゃーないから、ヒント出したるわ。

これが最後のヒントやで?

これでもわからん言うんやったら、もうどうにもならんわ」
と、言った。

「荒川さん家のノブちゃん――もう、これでわかるやろ?」

狼谷が言った。

「アラカワ…?

アワカワサンチノ、ノブチャン…?」

頭の中の古い記憶を探し出したら、
「ええっ!?」

まやは驚いて、狼谷を見つめた。

「思い出したか?」

そう聞いてきた狼谷に、まやは首を縦に振ってうなずいた。
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