世界にひとつのどこにもない物語
 * * *

彼らが東京へ行くことになったその日のことである。

「まやちゃん、東京にきたらいつでも遊びにきてや」

そう言った有希子に、
「うん、有希子ちゃんも遊びにきてや。

いつでも待っとるから」

まやは言い返した。

「まや」

有希子の隣にいた幼い狼谷がまやを呼んだ。

「絶対に忘れんといてや」

そう言った狼谷に、
「ウチは絶対に忘れんよ。

有希子ちゃんとノブちゃんのことを、ウチは絶対に忘れんから。

ずっと友達やからな」

まやはそう言って2人の顔を見つめた。

「うん!」

それに答えるように、有希子は首を縦に振ってうなずいた。
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