世界にひとつのどこにもない物語
その大きな手に、まやは自分の手を重ねた。

包み込むように繋いだその手に、まやはクスッと笑った。

「何や?」

そう聞いてきた狼谷に、
「すっかり大きくなったなって思うたんや」

まやは答えた。

それから狼谷を見つめると、
「ウチも好きやで」
と、言った。

「あんたの嫁やったら、いろいろな意味で安心できるわ。

ああ、お金がどうとかって言う意味やないで?

ウチはあんたそのものを好きになったって言う意味で言ったんやで」

そう言ったまやに、
「わかっとる」

狼谷は笑った。

2人で一緒に笑いあった後、
「帰ろか?」

狼谷が言った。

「うん、一緒にな」

まやは首を縦に振ってうなずくと、狼谷と一緒に歩き出した。

☆★END☆★
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