世界にひとつのどこにもない物語
『狼谷展義 27歳』

(年下なんか…)

自分よりも年下なのは確かだと思ったのだが、まさか3歳も違うとは思ってもみなかった。

「お似合いだと思いますよ。

天都さん、とても美人で優秀ですもの。

影で何て呼ばれてるかわかります?

“孤高の美女”ですよ、“孤高の美女”!

その“孤高の美女”に『狼谷財閥』の副社長がプロポーズ…!

これはもう絶対に返事をした方がいいですって!

玉の輿ですよ、玉の輿!」

キャーキャーと興奮したように騒いでいる倉坂をまやは冷めた瞳で見つめることしかできなかった。

(何が玉の輿や、そこまで騒ぐんやったら代わってもらいたいくらいやわ!)

心の中で暴言を吐くと、まやはパスタをフォークに巻いた。
< 26 / 111 >

この作品をシェア

pagetop