世界にひとつのどこにもない物語
「お断りします、バスと徒歩で帰れる距離にありますので」

これ以上関わるなと言うオーラを躰から出しながら、まやは言い返した。

「車ならすぐやで、ひとっ飛びやで」

歩きたくても狼谷が通せんぼをしているせいで歩くことができない。

(クソッ、1発殴ったろか!?

往来妨害罪として警察に訴えたろか!?)

「お断りしますと言っているじゃないですか。

それに仕事はどうしたと言うのですか?

副社長のあなたが仕事をほったらかして、こんなことをしてもいいんですか?」

「へえ、わいのことに興味を持ってくれたんか。

それは嬉しいことこのうえないなあ」

言い返されればされるほど、自分が追いつめられているように感じるのは気のせいだろうか?

(何が興味や、心の底から邪魔やって思っとるわ!)

嬉しそうに笑っている狼谷に向かって、心の中で暴言を叫んだ。
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