世界にひとつのどこにもない物語
今日の朝食はハムとチーズを乗せたトーストとミルクティーである。

それを食べ終えて歯磨きを済ませると、カバンに忘れ物がないかのチェックをした。

「よし、ないな」

そう呟いた後、クローゼットを開けて今日着て行くカーディガンを選び始めた。

ピンクに水色、グレー、黒、緑…さまざまな色の中から選んだのはグレーのカーディガンだった。

それを身につけると、玄関の方へと足を向かわせた。

黒のローヒールのパンプスを履くと、
「行ってきます」

ガチャッと、目の前のドアを開けた。

バスと徒歩を乗り継いで向かった先は、オフィスビル『B.C. square TOKYO』である。

3階フロアにある『二月銀行』がまやの勤め先だ。

時計が9時を差したその瞬間、今日も日本の経済界を支えているこのビルが動き出した。
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