世界にひとつのどこにもない物語
答えたまやに、
「やっと答えてくれたわ」

狼谷は笑った。

(何が都合がええや!

自分は都合がよくても、こっちは地獄や拷問や!)

心の中に溜まっているこのイライラと暴言をマシンガンのように狼谷にぶつけたら、どれだけ楽なことだろう。

「そうカッカせんでも、K町の3丁目まで安全運転で送ったるやさかいに」

全くと言っていいほどにお気楽な狼谷に、まやのイライラは募る一方だった。


「ついたで、K町の3丁目に」

車がローソンの駐車場に停車した。

時間的には短い方なのかも知れないが、乗っているまやからして見たら長くて仕方がなかった。

早く到着しないかとどれだけ願っていたことだろう。

「ありがとうございました。

次からは現れなくても結構です」

早口で狼谷にお礼を言うと、まやは車を降りようとした。
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