世界にひとつのどこにもない物語
「それだけかいな…。

もっと他に言うことがあるやろ?

例えば、好きですとかまたお願いしますとか」

呆れたように言った狼谷に、
「言いません、たったそれだけです」

まやは言い返すと、車を降りた。

「ちょっと待ちや、紅茶でも奢ったるから。

ミルクがたっぷり入ってるミルクティーをごちそうしたるから」

何故だか狼谷も車を降りてきて、まやを呼び止めようとした。

「えっ?」

まやは驚いた。

(何で知っとるんや?

ウチが紅茶が好きなこと、そのうえミルクティーが好きなことを何でこいつが全て知っとるんや?)

まやはコーヒーが嫌いだ。

どうも躰にあわないらしく、コーヒーを飲むと必ずと言っていいほどお腹を壊すのだ。
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