世界にひとつのどこにもない物語
「愛されているじゃないですか、うらやましいですよ」

倉坂はスプーンですくった親子丼弁当を口に入れた。

(何がうらやましいや!

そこまで言うなら代わって欲しいくらいやわ!)

まやはハムとチーズのサンドイッチをかじった。

今日のお昼は気分転換に外で食べようと思い、コンビニで昼食を買ってビルの外に出た…のだが、何故だかよくわからないが、倉坂もついてきて一緒に食べていると言う状況である。

「もうそこまでされたら、結婚をするしか他がないんじゃないですか?

まやさんもいい年齢ですし、お相手は『狼谷財閥』の副社長ですし」

この間までは“天都さん”と名字で呼んでいたのに、今は呼べと言った覚えはないのに“まやさん”と勝手に名前で呼んでいる。

「何が他がないですか。

私は嫌です、断ります、出て行きます」

まやは言い返した。
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