世界にひとつのどこにもない物語
「まやが俺のことを恨んでいるのは、当然です…。

俺のせいでまやが傷ついて、苦しんで…」

「わかっとるんやったら、何で…」

狼谷の言葉をさえぎるように、嘉門が話し始めた。

その話の内容に、狼谷は目を見開いた。


時計が8時30分を過ぎると、まやはビルを出た。

「すぐに計算があってよかった…」

計算が全くと言っていいほどあわなかったため、一時はどうなることかとヒヤヒヤしていた。

でもすぐに採算があったため、無事に仕事が終わってこうして帰ることができたのだった。

「まや」

その声に振り返ると、狼谷がいた。

「仕事、ご苦労さん」

狼谷が労いの言葉をかけてきたので、
「…狼谷さんも、ご苦労様です」

まやも呟くように労いの言葉を返した。
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