そのイケメン、オタクですから!
お店に出ると……何でいるの?!
開いた扉をもう一回閉める。

何で何で何で???

今扉の向こうにいたのは、間違いなく、及川先輩だった。

しかもセノジュンレッドじゃなくて!
さっき別れたばっかりの、私の、か、彼氏の……って考えて余計に恥ずかしくなる。

とにかく学校と同じ、制服をちょっと着崩して髪形も決まってて切れ長の目が際立ってて、ナナの目から見ても完璧に格好いい……。

なんて浮かれてる場合じゃないんだった。

えっと、私、今から何すればいいんだっけ。
及川先輩になんて声をかければいいの?

1.及川先輩!
2.セノジュンレッド!
3.ゆうぴょんご主人様!

うんうん。
簡単じゃない。ここはめいどいんふぁいとなんだから、3だよね。

深呼吸ー。深呼吸ー。
よし、指名稼いで、学費を稼ごう。

とびっきりの笑顔で背のジュンジャーの元に向かう。
いつも通り、いつも通り。

ん?
ちょっと待って?

ぎりぎりになって私は気づいた。
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