そのイケメン、オタクですから!
「面白いね」
よっちゃんに大声で言う。
「ホント、意外だね」
よっちゃんも笑ってる。

2年3組。
何だか面白そうなクラスだな。

会場のライトが急に暗くなって、BGMが落ち着いた曲に変わる。

舞台袖から出てきた人影に、周りの女子が「きゃあー」と悲鳴を上げた。

多分自前なんじゃないかな。
ジーパンにTシャツ、ジャケットとラフな格好をしているイケメンが出てきた。

普段「墓石」と呼ばれるあのダサい制服を着ているだけに、私服でもスポットライトを浴びているだけで5割増しになってるみたい。

その後も数人イケメンが続いて……。

最後にタキシードにウエディングドレスの二人が顔を出したら、「わぁ」と歓声とため息が混じったような声が響いた。

タキシードの男子は愛しい人を見るように女子を見つめている。すらりとした身長で髪を軽く固めていて、その顔は誰もが目を引かれるくらいに整っている。

……ん?

「キャーッ、悠斗くん格好いいー?」
私の隣の女子が、蕩けた目をして興奮した声を上げた。

なるほど、この人が及川悠斗か。

……この人が。
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