そのイケメン、オタクですから!
「馬鹿」
先輩が呟く。

「すいません……。あ、コーヒー買って来ましょうか? 寒いのに待たせちゃってごめんなさい。でも先輩はフリフリみっくちゅじゅーちゅの方が」

先輩に睨まれた。
……また失言。

どうしたらいいのかわからなくなると変な事ばっかり言っちゃう。

「先輩……怒ってますよね?」
「当然だろ」

「留愛がナナ……ありえねーし……俺は誰なんだ……」
完全に混乱してしまった及川先輩は自分のことまで疑い始めた。

「先輩は、及川先輩でゆうぴょんご主人様でセノジュンレッドです」

「セノジュン?」

「先輩達いつも似たような服着て背の順でお店に来るから、私がつけたんです。先輩は赤のチェックのシャツだからセノジュンレッド」

「じゃあ、ともきは……」

「はい。ともりんご主人様はセノジュンパープルです」

及川先輩は完全に呆れた顔してる。

「戦隊ものってたいてい5人じゃねーの? 一人足りないじゃん」
「あ、よかったら私がセノジュンピンクになりましょうか?」
「……」

あぁ、また馬鹿だと思われてる……。

「ばーか」
ほら、ね。

「私の事、嫌いになりました……よね?」
「…………」

否定してくれないんだ。
当たり前か……。

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