そのイケメン、オタクですから!
「及川先輩って、双子?」
心持ち大きな声でよっちゃんに尋ねるけど、彼女の耳には届かなかったみたい。

さっきから悲鳴を上げ続けている先輩が「双子だったらどんなにいいか。あの顔が二人もいるわけないじゃない」と代わりに答えてくれた。
「あ、すみません」と返事しておく。

ってことは、あれは及川先輩だったってこと?
なわけないよねぇ。
どう見てもオタクには見えないんだけど。

全てのモデルウォークが終わったらしく、ステージ上に全員が集まる。
マイクを持った及川先輩は、甘い笑顔ではきはきと喋っている。
頬を染めたりはしないしどもることもない。

ナナから携帯を受け取るだけで、まあその前にナナを抱きとめるっていうハプニングはあったもののゆでだこみたいに真っ赤になってたもんね。

……やっぱり別人に違いないや。
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