そのイケメン、オタクですから!
「でも……」
「自分の彼氏のこと信じなきゃダメじゃでしょ。ナナの無鉄砲なところが好きで後始末するのがご主人様なんだから、いいんじゃない? 及川先輩なら何とかしてくれるよ」
「ね」とよっちゃんは健くんに視線を向ける。

「だよな。お前ホント、ナナそっくり」
って健くんまで言う。

及川先輩といい、皆が私をナナ扱いする。
納得いかないんだけど……。

「んじゃ、話は終わりだよな。飯食おー」
健くんが能天気に言って立ち上がる。

「そうだね。ほら、留愛も行こ。今日のヘルシー定食何かなぁ」
「佳子太ってないじゃん。たまにはボリューム定食いっとけよ」

「え……でも……好きな人の前で、ボリューム定食は……」
よっちゃんが頬を赤くした。

「そういう可愛い事言うなよー」
健くんデレデレだ……。

二人といるとホッとする。
「じゃあ私、今日はボリューム定食食べる!」

宣言すると、よっちゃんが「え?」と目を丸くした。
どちらかと言えば小食な私、ボリューム定食は初めてのチャレンジ。

朝から食欲なくて全然ごはん食べなかったから、今なら食べられそうな気がするんだよね。

「お前は止めとけよ。及川先輩に振られるぞ」
健くん、時々厳しい……。

退学届を出そうとしたこと、先輩に止められちゃった事、先輩が私の為に名簿を渡しちゃった事。

今更悩んでも仕方がない、この先どうなるのかわからないけど……。


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