そのイケメン、オタクですから!
重厚な机と校長先生が腰かけている背もたれの大きな椅子、右手にはソファーとローテーブルが見えた。

「こっちへ来なさい」
机の前に二人で並ぶ。
校長先生は私にちらりと視線を向けたけれど、何も言わなかった。

「どうして呼ばれたかわかっているかな?」
校長先生の発する神妙な声は逃げ出したい気持ちにさせる。

偉そうにしているわけでもないのに威圧感がある。

私が喋ったらきっと声が震えてしまうと思った。
だけど及川先輩の声は落ち着いている。

「アルバイトの自由化の件だと思っていますが」
「……校則を破っていたものは全員退学」

「えぇ!?そ、そんな……」
私は思わず悲鳴を上げた。

目の前が真っ暗になる。
及川先輩も、私も、よっちゃんも、桜井先輩も、みんな……?

「退学にするなら私だけにして下さい! あの名簿は嘘なんです。本当にアルバイトしているのは私だけなんです。だから!」

机に両手をついて訴える私の肩を及川先輩が支えて「本当の要件は何ですか?」と冷静に言った。

「……君は面白みがないな。彼女のような反応を期待していたのに」
校長先生はつまらなさそうに呟く。


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