そのイケメン、オタクですから!
及川先輩に出会うまで学校は窮屈な場所だった。
中学三年生の春休み、生活の為に始めたメイドカフェでのバイト。

最初は指名がもらえなくて、上手く笑えなくて、ビルの裏でいつも泣いていたんだ。
初めての指名は、そうだ背のジュンジャーが来た時だった。

店長が、あのカラフルな4人組があなたを指名してくれたのよって教えてくれたんだ。

あの日から、私にとって背のジュンジャーはヒーローだった。
出会いに気づく前から、及川先輩に助けられてたんだね。

メイドカフェが楽しくなればなるほど、学校ではそれなりに上手くやっていたけれどいつも違和感を感じていた。

それをこの人は、全部取っ払ってくれた。
ナナと私は一人になって、自由を手に入れたんだ!

「メイド服と散弾銃」の最終回、自由を手に入れたメイドたちはそれぞれの道を選ぶ。

リリはご主人様と離れて一人で生きて行くことを。

ナナも「迷惑ばっかりかけてごめんなさい」ってご主人様と別れることを決意するけど……「これからは恋人として、俺がナナを守る」ってご主人に言われるんだ。

私と及川先輩も、ナナとご主人様みたいになれるかな。

なれたらいいのに。
……私はナナとは違うけれど。

及川先輩は、ゆうぴょんご主人様は、ずっと私にとってのヒーローなんだ。
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