そのイケメン、オタクですから!
シンプルな青のシーツがかけられたベッド座ると、先輩は勉強机に座った。
勉強机といってもスリムなタイプで、普段はパソコン机としても使われているもの。

パソコンは避けてくれてるから、私も隣に座って勉強するべきなんだけれど。

「バイトだったもんな、ちょっと休憩しとけよ」

先輩のお言葉に甘えて壁にもたれる。
「ちょっとだけ休憩したら、私も勉強します」

一応参考書を取り出して開いたけれど……眠い。
平日は先輩とみっちり勉強しているし、今日はバイトだからと思って昨日も遅くまで頑張ったんだよね。

先輩だって新しくできた数学部の副部長も兼任だし、相当忙しいと思うんだけど。
生徒会も勉強も全然手を抜かないところがすごい。

数学部はこの夏ある数学甲子園に出場する予定で、何と部長の斎藤先輩と及川先輩がホープなんだ。
二人が協力しているのは違和感があるけど、実は数学の成績は斎藤先輩の方がいいらしい。

斎藤先輩としては及川先輩に勝てるチャンスだと思って励んでるみたいで、前みたいな嫌がらせをすることはなくなった。

リズミカルな先輩のペンの音を耳に、私の意識は遠ざかっていった……。
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