そのイケメン、オタクですから!
面白がっているような瞳は、どうやら奥の人に判断を委ねるつもりらしい。
という事はこの人がボスキャラって事ね。

確かに文化祭のステージでは甘い笑顔を見せていたくせに、無表情になると狼みたいな鋭さがある。

ちょっと手ごわそうだな。

でも狼と違って言葉は通じるみたいだし、さすがに噛みつかれたりはしない……と思う。

「自由な校風、絶対に実現させたいんです。高校生活を私らしく、楽しく送りたいんです。だから生徒会に入りたいんです。どうしても!」
早口で捲し立てながら及川先輩に詰め寄る。

眉を寄せて面倒くさそうな顔をしていた先輩は、私の勢いに押されて思わず後ずさった。

ここでもうひと押し。
「一緒に自由の為に戦いましょう!」

……。
…………。

しばらくの沈黙の後、及川先輩はお腹を抱えて笑い出した。
「ぶはっ、自由の為に戦うって……お前はヒーローか。面白れー奴、あはは」
後ろで桜井先輩も「すごい迫力だったね」なんて笑っている。

そんなに笑わなくてもいいじゃない。
恥ずかしい事言っちゃったかな……。

逃げ出したくなったけど、続く及川先輩の言葉に単純な私は気を取り直した。

「おう。これからよろしくな。名前は?」
これからよろしくってことは入会OKってことだよね。
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