そのイケメン、オタクですから!
「そんなに怯えなくても、もうあんなことはしねーよ。胸でかくなっちまって、育ちすぎだっての。あの頃は可愛いかったのにな。ママは元気か?」

目の前の男の言葉が右から左に通り抜けていく。
ここはどこ?

そうか。
この男の顔は何度も思い出した。

私今、高町先生の診療中なんだ。
「母親に似て面食いだな。どうせ今はやりまくってんだろ? 処女じゃなきゃ尚更興味ねーわ。あーあ、あの時は食べごろだったのにな」

先生に促されて頭の中でテレビをつけたら、短いドラマが始まる。
何度も回想したシーン。

部屋の扉を開けて男の横を通ったら、いきなり足を払われてその女の子は畳の上に押し倒された。
手首を掴まれて顔を殴られて、口の中に何か詰め込まれる。

「また警察のご厄介になるのは勘弁だし。じゃあ、な」

言葉を出すことは出来なくて、男が殴る音と少女の息の音だけが響く。
汚れて物の溢れた6畳の部屋。

少女は抵抗を止めた……。

「留愛、大丈夫か?」
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