そのイケメン、オタクですから!
よっちゃんと健くんと4人で、焼きそばとフランクフルトを買って校庭のベンチに座る。
メイド服のままだから、健くんはやたらによっちゃんによそよそしい。

一つ深呼吸をして、私は口を開いた。
どうしても二人に言っておきたい事があるんだ。
「あのね……よっちゃん、健くん。あの時はありがとう」

「「え?」」
二人が怪訝そうな顔を向けた。

及川先輩の視線を受けながら、私は続ける。
「私ずっとあの事と向き合えなくて、逃げてたんだ。でも及川先輩は、一緒に乗り越えようって言ってくれる。だからもう大丈夫。二人がいてくれてよかった」

「留、愛ーーー」
よっちゃんがぼろぼろ涙を流しながら抱き付いて来た。
健くんは何も言わずに頷いた。

「よっちゃん、せっかくのメイクが取れるよ」
苦笑いするけど、よっちゃんはもっと強く抱きしめてくれる。
「そんなのいいの。留愛が好きだよ」

「え……それって友情?」

思わず焦ったら「馬鹿、当たり前でしょ」ってよっちゃんに小突かれた。
「佳子、俺と七瀬どっちが……」って健くんが口を挟んで、よっちゃんに殴られてた。

イチャイチャし出した二人。

もう、本当に仲いいんだから……。

及川先輩は笑顔で二人を見てる、と思ったら「行くぞ」って腕を掴まれた。

ベンチに置いたままの焼きそばとフランクフルトは捨てがたいけど、先輩が二人きりになりたいって言うなら仕方がない。
「よっちゃん、健くん、また後でね!」

「え、留愛っ」
びっくりしたよっちゃんに手を振って先輩と走り出す。

休憩時間は後30分。

二人で楽しみますか。
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