そのイケメン、オタクですから!
「1年の時付き合ってた先輩が結構遊んでる人で、悠斗のことも見映えのいい年下の彼氏ぐらいにしか思ってなかったみたいでね。
でも浮気してるって噂聞いても本人が認めるまでずっと信じてたから、アイツ。
そういう真っ直ぐなとこが、憎めないタイプなんじゃない?」

「有名な話だけど、俺が言ったことは秘密ね」と付け加えて桜井はもう一度指を立てた。

ふぅん。
及川先輩の元彼女か。
別に私にはなーんの関係もないけれど。

その元彼女は先輩がオタクだって知っていたのかな。

及川先輩はいつもドリップで入れたブラックコーヒー。
で、左手で頬杖をついて本を読む。

誰にでも気さくに話しかけるけど、イケメンだとキャーキャー騒ぐ女子には厳しい。
自分だってナナにはキャーキャー騒いでいる癖に。

本当は恥ずかしがりのセノジュンレッドはキャーキャーなんて騒がないけれど。

私が知ってるのはそれくらいだ。

「元彼女って茶髪にツインテールで胸が大きかったりします?」
「え?」
思わず出てしまった言葉に自分でびっくりした。
只でさえ大きな桜井先輩の目が見開かれて瞬く。

よっちゃんが思いっきり口を抑えて笑うのを堪えている。
大笑いしてたら何の話してるのかと及川先輩に怪しまれちゃうもんね。
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